

愛媛大学 Children Supporters
慶應義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班 2023年の聴き手
静岡大学 石川研究室 2024年の聴き手
愛媛大学 Children Supporters
2023年の聴き手
慶應義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班
2024年の聴き手
静岡大学 石川研究室
Children Supportersについて
子どもたちの笑顔が増えるように、携わるみんなの笑顔が増えていくように
愛媛大学医学部の公認サークルで通称「チルサポ」と呼ばれています。 認定NPO法人ラ・ファミリエや愛媛大学附属病院小児科と連携し、病院内外の子どもの学習支援を中心に活動しています! 学習支援だけでなく、医学祭や病院内でのイベント企画・運営も行っています。
「Children Supporters」をあらわすキーワード
団体の概要
Q.団体名は?

正式名称:愛媛大学 Children Supportersです。
通称「チルサポ」と呼ばれています。
Q.設立年は?



2017年です。
Q.活動地域は?



愛媛大学医学部附属病院を中心に愛媛県内の病院で活動しています。
学生メンバーについて
Q.どんな学生メンバーがいるの?



31名です。(2024年現在)
活動の紹介
主な活動
Q.具体的な活動内容は?




- 入院中・退院後の子どもたちの学習支援ボランティア
- 病棟内での工作イベント(クリスマス会等)
- 子ども食堂でのボランティア
- サークル内学習会の実施
- 医学祭におけるレモネードスタンド など
1.学習支援ボランティア
認定NPO法人ラ・ファミリエと連携し、ラ・ファミリエのスタッフが子どもに学習支援を行った後、チルサポメンバーと子どものマッチングを行い、学習支援ボランティアを始めます。
チルサポメンバー1人当たり、1週間に1回の学習支援となるため、学習支援を受けるお子さんが1週間に複数回学習支援を希望される場合は、複数人で1人を担当するシステムで行っています。
毎回の学習内容をレポートにまとめて、保護者・その子に関わるボランティア全員・学習支援担当のラ・ファミリエスタッフのみんなで共有できるような体制を取っています。また作成したレポートを印刷してファイリングしたものをナースステーションにおいておくことで、医師や看護師とも共有しています。



学習支援では「勉強」だけでなく「学習」を行います。「学ぶこと」を支援することで日々が充実したものになるよう心掛けています。



チルサポの学習支援では、入院中だけでなく退院後もZoomを使いながら学習支援を継続することがあります。
ラ・ファミリエさんや病児の保護者と情報共有ができる連絡網があるので、学習支援が終わっても繋がりを持つことができます!
2.研修会
前期(4月〜9月)と後期(10月~3月)の年に2回研修会が開かれています。
教育学部の教授らによる研修を受け、教育の理論や地域のニーズ等について学びます。毎回レポートを提出し、合格をもらってから学習支援を始めます。



研修が修了したら、副島先生の赤鼻がもらえます!
3.余暇支援
夏休みや冬休みなどにイベントを企画・運営したり、病棟のイベントに参加したりしています。



病棟に行く活動だけではなく、年末年始やお盆の時期に外泊許可がおりない子どもに対して、「季節を感じてほしい」「孤独感を感じないように」という思いから年賀状等を送っています。
4.勉強会
小児がんについての医学的知識を深める勉強会をしたり、「病気療養中の子どもたちと学生が作る、”学びの場”について考えるフォーラム」などの全国の学習支援仲間と繋がったりする機会に参加したりします。



病気に対する知識をつけておくことで、その子自体の理解が深まるため、学習支援の質が向上するという考えて、活動しています。
医療の知識だけでなく、保育や教育についても勉強する機会を設けて、幅広い分野の知識を身に付けています。
5.地域貢献活動
子ども食堂に参加しています。子ども食堂には毎日学校に通っている児童が多く参加します。



医学部生にとって、学校の雰囲気を知る機会は少ないことが悩みです。そんな中、この子ども食堂は学校の雰囲気を知る貴重な機会になります。この活動で得た感覚や知識が復学支援や退院後の繋がりに重要な役割を果たしています。
6.レモネードスタンド
レモネードスタンドは「がんと闘う子どもたちのために自宅や学校でレモネードも販売し、寄付金を小児・AYA世代のがん支援に寄付する活動(※レモネードスタンド普及協会HPより引用)」です。
※AYA世代とは…15歳から39歳を指します。Adalescent&Young Adult(思春期・若年成人)



医学祭にてレモネードを販売し、2日間の売り上げ50000円を寄付しました。
対象の子ども・活動場所
Q.どんな子どもたちと、どんな場所で関わっているの?



病院内やZoomで活動しています。退院後はzoomで学習支援を行いますが、通院に来ている子どもと再会できることもあります。
これまで実施したイベント
Q.これまで実施したイベントは?



実施したイベントの概要
Children Supportersの特色
連携している団体・応援してくれる先生方
認定NPO法人ラ・ファミリエ、愛媛大学附属病院小児科などと連携して活動しています。
認定NPO法人ラ・ファミリエ



ラ・ファミリエの担当者の⽅がいつもサポートしてくださって、わからないことや悩みをLINEなどで親⾝に聞いてくださったり、悩みを抱えている学⽣ボランティアが集まる相談会を作ってくださったりしています。



ラ・ファミリエの担当者さんと保護者の⽅、学⽣ボランティアのLINEグループがあり、学⽣メンバーが活動終了後に必ず報告書を作って共有しています。
フォーマットが決まっているわけではないので、感想や反省点といった学⽣ごとの個性が出ているところは特徴かなと思います。
認定NPO法⼈ラ・ファミリエさんに伺いました
Q.ラ・ファミリエさんについて教えてください。



認定NPO法⼈ラ・ファミリエの取り組みとして、学習⽀援や就職⽀援、きょうだい⽀援などがあります。
Children Supportersの学⽣ボランティアが学習⽀援活動をできるように、病気のある⼦どもたちと学⽣ボランティアをマッチングするつなぎ役も担っています。
退院した後も含め、⻑期的に⼦どもの様⼦を⾒ながら、⽀援が必要ではなくなった時には⼦どもの「卒業」と捉えて送り出しています。
Q.どのような流れで、学習⽀援開始となりますか?



まず、病院からの相談・紹介、またはご本⼈や保育者等からのご相談があった際には、ラ・ファミリエの⾃⽴⽀援員が⾯談を⾏います。どのようなお⼦さんなのか、またどのような学習⽀援が必要なのかなどついて確認します。



その後、⾃⽴⽀援員による学習⽀援の実施もしくは、学習⽀援ボランティアとのマッチングを⾏います。学⽣ボランティアとのマッチング後には、⼦ども・保護者・⾃⽴⽀援員・学⽣ボランティアでの顔合わせを⾏ってから学習⽀援が始まります。



なお、ラ・ファミリエの学習⽀援ボランティアには、Children Supporters以外にも、Children Supportersに所属していない学⽣さん、他⼤学の学⽣さん、地域の社会⼈の⽅もいらっしゃいます。
Q.Children Supportersについて



Children Supportersのメンバーになる前に、研修では学習⽀援や病気について学ぶ全6回の研修と個⼈⾯接があります。
全6回とボリュームのある研修ですが、学⽣ボランティアからは研修も含めてChildren Supportersの活動と捉えています。個⼈⾯接では、性格や雰囲気、この活動に参加しようと思ったきっかけなどを学⽣ボランティアにお話してもらい、そのメンバーの適性もみながら、学習⽀援を必要としている⼦どもと学⽣のマッチングをしています。



学習⽀援に⼊る学⽣ボランティアが確定すると、担当の学⽣ボランティアに⼦どもについて情報を共有します。その際はその⼦らしさを引き出すヒントも伝えます。
例えば「〇〇の病気を抱えて、〇⽉から⼊院しているA君」ではなく、「カブトムシのことをたくさん知っていて、ゲームが⼤好きなA君」というように紹介します。
檜垣先⽣



学⽣ボランティアで運営している⽉1回のミーティングで困っていることをみんなで共有することもあり、部活の顧問の檜垣先⽣がミーティングに参加してくださることもよくあります。
檜垣先⽣に伺いました
Q.ChildrenSupporters ⽴ち上げのきっかけについて教えてください。
私の研究室に⼊っていたゼミ⽣が⾏った学習⽀援活動が始まりです。
最初は「みんなで集まりましょう」という形だったのですが、メンバーが⼀学年だけではその⽀援が終わってしまうので、「縦に繋がる必要がある」という意⾒がでてきました。継続して活動をするために、⼤学に申請して正式な部活となりました。
Q.NPO法⼈ ラファミリエとの連携はどのように始まったのですか︖
部活が設⽴された当初は、「ゆるい集まり」のような形でした。その時は学習⽀援もシステマティックに⾏っていなかっ
たのですが、徐々にNPO法⼈ ラファミリエとも連携をとっていくようになりました。
背景には、⼩児慢性特定疾病児童等⾃⽴⽀援事業に関する法整備が整ったことも関係しています。
Q.「⼩児慢性疾患の⾃⽴⽀援事業」というお話がありましたが、学習⽀援を⾏う⼦どもの対象はありますか︖
⼩児慢性疾患は16疾患群788疾病と定められていますが、⼩児慢性疾患以外でも、困っている⼦どもは困っているので、ニーズがあれば学習⽀援は⾏っています。
個⼈的にはぜひ⼊院したその⽇から学習⽀援をやってほしいという想いもあります。ただ、学⽣と患者さんの間をトラブルなく、守っていくためにも今のようにNPO法⼈ ラファミリエが⼊って、丁寧に学⽣さんと患者さんの間を繋ぐということはとても⼤切だと思います。
Q.医療の現場からみた学習⽀援というのをどのように考えられていますか︖
⼊院したその⽇からすぐに勉強をしなければならないというわけではないかと思いますが、⼦どもの学びを気にかけてく
れる⼈がいたら、その⼦の調⼦をみて隙間が空いた時に「学校で何していたの︖」と聞きに⾏くことはできます。タイミングや体調などにもよりますが、⼦どもの学びを考えている⼈が⼀⼈でも必要だと思います。
海外では役割ごとにさまざま職種があり、⼊院すると⾊々な⼈が患者さんを訪ねます。そのような形で、⼦どもの学びを
考えている⼈がいるような病棟になればいいと思います。
Q.学習⽀援を⾏っていらっしゃる学⽣さんも今後現場に出ていくことになるかと思いますが、将来の学⽣さんに期
待することはどのようなことですか︖
ラ・ファミリエやChildrenSupportersが取り組んでいる活動のようなことは、私が学⽣の時には気付かなかったことでした。
今、ChildrenSupportersで活動している学⽣のような想いを持って現場に出ると、”優しいお医者さん”になれるのではないかなと思います。医療者としての仕事をしながらも、
団体の特徴
学生ボランティアの役割
学生ボランティアの役割は「一緒に勉強する仲間」と考えています。
①学習機会の確保
院内学級は少人数であり、ともに学習するのは同じように入院している子どもたちに限られてしまいます。しかし、大学生と「一緒に勉強する」機会があることにより、学習内容が充実することが期待できます。
それだけでなく、さまざまな人と関わることを通してコミュニケーションスキルも高まり、学校で孤立することの不安を解消することにもつながります。
②年齢の近い学生と関わること
長期入院によって関わるのは医療従事者や親族、年下の子どもに限られます。
しかし、先生でも友達でも医療従事者でもない「勉強する仲間」として話すことのできる学生ボランティアの存在は、療養中の子どもにとって大きなものです。
土日も含めた学習支援
チルサポは土日も含め学習支援を行っています。医学生なので平日は16:30まで授業があるため、日中行うことは難しい状況です。入院児の夕食までの時間を有効活用し、1~2時間程度で学習支援をしています。
家庭教師ではないという⽴ち位置
研修や講習会で、勉強だけではない「余暇⽀援」を学びました。あくまで学習⽀援をしている⼤学⽣であって家庭教師ではないという⽴ち位置を重要に感じています。
また次の予定を⽴てることが⼤事ということも学びました。「また来週ね」と⾔ったら、⼦どもたちがまた来週会えるまで頑張ろうという⼒になると考えています。
これからについて
今までの活動を引き継ぎつつ、さらに子どもたちの幸せにつながるように活動を広げていきたいと考えています!
学生メンバーへのインタビュー
Q.なぜ、チルサポに入ろうと思いましたか?



子どもが好きだから、将来子どもと関わる分野で働きたいからという理由から入部するメンバーが多いです。
何か目的があって入るのではなく、チルサポの活動を通して改めて子どもと関わる領域にいたいと感じたメンバーもいます。



もともと新⼊⽣の時にみたチラシで部活の存在は知っていたのですが、研究室の先輩に誘われたのをきっかけに⼊部しました。
⼤学に⼊った時から⼩児科を⽬指していたので、⼦どもに関わりたい気持ちはずっとありました。そんな時に先輩からのサークルでの経験談を聞いて、このような活動をしている⼈の重要性を知り、実際に私も関わりたいと思いました。
Q.活動していてよかったこと、嬉しかったことは?



学習支援中に笑顔になってくれたり、勉強以外のことも楽しそうに話してくれたりする時嬉しいと感じます。
明るい反応だけでなく「疲れた、勉強したくない」という反応に対しても、学生に対して心を開いてくれたのかもしれないと思い、嬉しく感じることもあります。



個⼈ではできない体験を通じて、今まで知らなかった部分も⾒ることができたり、⽀えを必要としている⼈がいることを実感できたりしたことです。



⼦どもたちがニコニコしていたらすごく嬉しいです。
活動を通して⼦どもたちが楽しんでいる姿を⾒るとモチベーションにもつながります。以前、⼯作イベントで⼊院中のお⼦さんが⼯作を楽しんでくれていた時にもやりがいを感じました。
Q.活動を通して成⻑したことは?



サークルに⼊る前は、そもそも院内学級の存在をそこまで知らなかったので、病気の⼦どもたちの教育制度が整っていないことを学びました。
Q.医療系学部の学生が活動を⾏うことの良さは?



医学⽣や看護学⽣が活動を⾏わないといけないわけではないとは思いますが、疾患についての知識や理解はあるのでお⼦さんから「今⽇は治療でこんなことをしたよ」と⾔われた時、その内容がわかるというのは良い点だなと思います。
Q.気をつけていること、⼤事にしていることは?



研修や講演会でのお話を通じて、⾃分たちの⽴場を考えたときに、親でも学校の先⽣でも医療従事者でもなく「⼤学⽣のお姉さん」であることを軸に考えています。勉強ができてお話ができるお姉さんくらいの⽴ち位置でいることを意識しています。



病院内で季節感を出すために、夏祭りやハロウィン、クリスマスイベントに加えて、年賀状プレゼントを実施しています。
病院内では季節感を感じることが難しいので、学習の合間に「今日暑かったよ」や「もうこんなに外暗いんだぁ」などの一言で、外の世界に意識を向けてもらうことも効果的です。


Q.⼤変だったこと、難しさを感じたことは?



教育のことを学んでいないので勉強の教え⽅を考えることが難しいです。
⾃分は理解しているけれど⼦どもたちのレベルに合わせて学習⽀援の⽅法を考える時に、教育課程を受けている⽅に⽐べてわからないことが多いのではないかと感じています。