

NPO法人 未来ISSEY グッドブラザー
慶應義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班 2023年の聴き手
京都大学 発達教育学部 2024年の聴き手
NPO法人 未来ISSEY グッドブラザー
慶應義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班
2024年の聴き手
京都大学 発達教育学部 2023年の聴き手
未来ISSEY グッドブラザーについて
子どもが病気になっても、子どもと周りの人たちが希望を持って自分の力を取り戻せるように
香川県で病気と闘う子どもたちの「笑顔」と「明るい将来」を支えたいという思いで団体を設立しました。 病気の子どもたちやその家族に寄り添い支える試みを香川県で実現することを目指しています。遊びや学習の支援を通して、辛い治療の中でも笑顔の時間が見つかるように未来ISSEYは活動しています。
「未来ISSEY グッドブラザー」をあらわすキーワード
団体の概要
Q.団体名は?

正式名称:NPO法人 未来ISSEY グッドブラザーです。
Q.設立年は?



2018年11月です。
Q.活動地域は?



活動拠点である「みらいCUBE」は丸亀市にあります。
学生メンバーについて
Q.どんな学生メンバーがいるの?



香川大学の医学部・教育学部の学生、四国学院大学、高校生が参加しています。(2024年現在)
活動の紹介
主な活動
Q.具体的な活動内容は?
NPO法人未来ISSEYでは、支援ボランティアである「チーム・グッドブラザー」として活動しています。
バディ(療養中の子どもたちやそのきょうだい)にとって、少しだけ年上のお兄さんやお姉さんとして関わり、入院中や療養中の子どもたちとそのきょうだい児さんの心のケア・遊び・学習、そして復学をサポートします。
1.情報発信



必要な情報をまとめたWEBサイトを作成し、情報を探す手間を省き、情報弱者の減少、更には香川県内で同じ経験をした方々の情報共有も促進します。
加えて、インスタグラムや公式サイトを通じて、日々どんな活動をしているのか、発信をしています。 ICTによるコミュニケーション・学習支援等も行っています。
2.交流支援ロボットの貸し出し







ロボットを使うことで、卒業式や授業への参加、水族館や美術館への訪問など、さまざまな思いを実現させてきました。
例えば、遠隔ロボットを使って四国水族館に遠足に行った際には、子どもたちが見たい魚を見たり、クイズを用意したりして楽しめる工夫を考えながら活動しています。また、学校で友達を作る手段としてもロボットを活用しています。
つながロボット(tapoを改良)



かわいい見た目をしているため、子どもたちが使用する ときに、ロボット感がなく、キャラクターと話している感覚でつながれます。
OriHime(オリヒメ)が高額で長い間持ち続けることができないために、香川大学創造工学部と提携し、OriHimeの代わりとなるもので、子どもたちに喜んでもらえる雰囲気にかわいくしたものができないかという発想で作りました!
Kubi(クビー)、Telepi(テレピー)



病院から出られない子どもたちも、病院にいながら 病院の外のイベントを楽しむことができます。
3.さまざまな取り組み
コロナ禍から始めた活動



Zoomでの遊びと学びの支援を行っています。
・対象:入学前の子~高校生まで幅広いバディが参加
・日時:毎週金曜日17:00~19:00、毎週土曜日 14:00~16:00
だははは問題集



楽しく勉強できるツールで、小学・中学・高校、難易度別問題集を制作しています。 問題は、公式サイトで配布しています。
季節のイベント



年4回 サマーパーティーやハロウィンパーティーなどを企画・準備し、季節のイベントを行っています。 ハロウィンパーティーでは、ロボットを使って子どもたちに見せながらゲームやビンゴを行いました。
レモネードスタンド



発信の意味も込めてお祭り・出店が出るイベントで販売をしています。 小児がんについてさまざまな人に知ってもらって、支援をしていただきたいという思いをもって活動しています。小児がんに興味がある方には、その場で小児がんについての説明をします。
みらいキューブ



2023年5月7日にオープンした、みらいキューブという活動の場を香川県丸亀市に設けています。 病気の子どもと家族が社会のさまざまな活動や仕事に参画し、世界の一員として活動できることを目指し、交流会やイベントを行っています。
対象の子ども・活動場所
Q.どんな子どもたちと、どんな場所で関わっているの?



小児がん・心臓病など慢性的な疾患・長期にわたる治療や入院が必要な子どもたちとその家族を対象に支援活動をしています。
香川大学医学部附属病院、四国こどもとおとなの医療センター
これまで実施したイベント
Q.これまで実施したイベントは?
- ①病棟支援
- ②レモネードスタンド
未来ISSEY グッドブラザーの特色
ボランティアを支えるスタッフ
ボランティアを支えるスタッフ
医療・福祉・教育を学びながら病弱児支援に関わりたいという大学生ボランティアを支えるのは、NPO法人未来ISSEYのスタッフです。
団体の特徴
きょうだい児支援
入院している子どものきょうだい児さんは、周囲の人にかまってもらえる時間が少なくなったり、寂しい思いをしたりしています。また、表面的には見せなくとも、さまざまな思いを抱えている子どもたちもいます。
そのため、グッドブラザーでは、きょうだい児さんも含めて、楽しい時間を過ごせるような活動を行っています。
グッドブラザー登録研修会
大学や高校でグッドブラザーとして参加する際に、団体の 活動を知ってもらうための研修会を実施しています。 この研修会に参加した方が興!味を持つことで、グッドブラザーに加入する形になっています。
研修は、実演形式で行い、実際に子どもたちと関わる際のリアクションや笑顔について学びます。コロナ禍にはオンラインでの話し方や、話しやすい声のかけ方に関する研修も行いました。
これからについて
他の団体と今後してみたいこと
交流や企画を一緒にしてみたい
全国の団体と、オンラインなどを活用し、交流や企画を一緒にしてみたいです。
個人的には、香川県外での遠足企画なども実現してみたいと考えています。また、今回のようなフォーラムに定期的に参加し、病弱児に対して同じ思いを持つ人たちとの交流を通じて学び合いたいです。
「未来ISSEY」は、子どもと直接関わる機会が多いことが強みなので、その経験をぜひ共有したいです。現在、香川県外の「グッドブラザー」も登録されています。オンラインでの参加が可能な点も「未来ISSEY」の強みですので、県外の「グッドブラザー」を増やし、ぜひ病棟の子どもたちとオンラインで活動できる機会を提供したいです。学生のうちに、他大学や他職種、他領域の方と関わる機会は多くないと思います。「未来ISSEY」の活動に参加することで、活動だけでなく交流の場を広げ、貴重な学びの機会を増やしていきたいと考えています。
現在「未来ISSEY」では月に一度、病棟支援活動を行っています。しかし、感染症の観点から病棟に入れる人数が限られており、参加したいという思いがあっても、全員が参加できるわけではありません。
そこで、他の団体と交流し、活動の場を広げることで、参加したいという意欲を持つ人たちの機会を増やしたいと考えています。また、他団体との交流を通じて活動内容を学び、参考にしながら「未来ISSEY」の活動をさらに発展・昇華させていけるような機会にしたいです。



まずは近隣の愛媛県などから交流を始め、将来的にはさらに遠くの団体とも交流の機会を広げていきたいです。
学生メンバーへのインタビュー
Q.未来ISSEYに所属したきっかけは?



幼いころに入院を経験したことから、医療に携わりたいと考えていました。特に、病院で誕生日を迎えた際に感じた寂しさは、今でも強く心に残っています。この経験を通じて、病院で過ごす子どもたちのために、自分に何かできることがあるのではないかと思うようになりました。
大学では心理学の先生から「未来ISSEY」の活動について教えていただいたことで関心を持ち、現在の活動に参加しています。



大学入学後、ボランティアサークルに参加し、「未来ISSEY」の活動を知りました。そこで、病院内で行われる季節のイベントなどに携わってきました。
自分自身も入院経験があり、「あの時にこんな活動があれば、もっと楽しい時間を過ごせたかもしれない」という思いが、現在の活動へのモチベーションとなっています。



現在、心理学科に在籍していますが、もともと発達障害や長期入院中の子どもたちの心のケアに強い関心を持っていました。
医療現場に近い心理士を志す中で、大学ではボランティアサークルに参加し、「未来ISSEY」の活動に協力することで、さらに興味が深まりました。現在は病棟支援を中心に積極的に取り組んでいます。



グッドブラザーは、所属している大学のサークル「地域・災害ボランティアサークル」で募集があり参加を決めました。
そもそもこのボランティアサークルに入ったのは、中学生の時にボランティア活動に参加していたことがきっかけです。中学校の校庭にある花壇に、地域の人と一緒にお花を植える活動をしていました。そのボランティアメンバーに偶然、祖父母の知り合いがいて、人とのつながりにおもしろさを感じ、活動を通して人と関わることが好きになりました。
いろいろなボランティア活動に参加する中で、新たな人とのつながりが生まれていく楽しさを知り、大学のパンフレットでこのサークルを見てすぐに参加を決めました。
Q.学習支援をした時、気持ちだった?



オンラインで行う学習支援の対象の子どもたちは、治療中であったり入退院を繰り返している子どもたちでそのきょうだいたちも一緒に活動に参加してくれることがあります。初めて学習支援をした時は「ドキドキ」したことを覚えています
Q.子どもたちに関わるうえで最も大切にしていることは?



子どもの視点に立つことですね。患者としてではなく、子どもらしく病気を忘れて過ごせる場を提供するよう心がけています。
病気にとらわれることなく、子どもらしさや個性を失わないよう、たわいもない話を楽しんだり、ゲームをしたりできる環境を整えておきたいと考えています。



子どもたちとの距離感を重要視しています。距離を詰めすぎると怖がられてしまうことがあるため、子どもたちと視線を合わせることを意識しています。
心の距離感も大切で、特に話し方に気をつけています。敬語を使うと子どもたちに緊張感を与えてしまうことがあるので、「今日もよろしくね!」と元気いっぱいに話しかけることで、子どもたちとの対等な関係を築こうと考えています。



病棟に入院している子どもたちは、同世代と関わる機会が希薄になりがちです。そのため、子どもたちと対等でいることが重要だと考えています。
例えばゲームをする際には、常に順番を譲るのではなく、子どもたちもグッドブラザーも関係なく、順番を守って遊ぶように注意しています。



「遊んでもらった」と感じるのではなく、「一緒に遊んだ」と思ってもらえるような関わり方を心がけています。
また、病室は子どもたちにとって「家」と同等の空間であると考えています。プライベートな空間であることを忘れず、対等ではありながら壁を作りすぎず、無神経にもならないよう心がけ、「友だち」として意識してもらえるようにしたいです。「月に一度会える特別な日」として、子どもたちにも楽しみにしてもらえるようにしたいと思っています。
Q.活動の中で工夫したことは?



活動の中で子どもたちと一緒にゲームをすることもあるのですが、『指スマ』を「いっせーのせ」で指ではなくて、片手のみを挙げるというルールにしました。
この方法だと点滴をしていたり、片手を怪我してたりしていて両手を使えない子どもたちも参加しやすくなります。子どもたちにもわかりやすく、入院中の子どもたちに配慮した内容になるように、グッドブラザーのメンバーで意識しています。
Q.未来ISSEYへの参加を通して考える、将来のビジョンは?



来年から病棟心理士として子どもたちと関わっていきたいと考えています。
現在、修士論文について研究する中で、学生時代に現場に関わらせていただけることを非常に貴重だと感じています。研究に加え、「未来ISSEY」の活動を通じて実際の現場に触れることで、将来のビジョンがより明確になってきました。
今行っている支援活動の延長線上に、心理職として関わる際にできることがあると感じており、学生のうちに現場で経験を積むことの重要性を強く実感しています。さらに、実習以上に長期的に関わることができ、病院側からも積極的なご協力いただいているため、心理職を目指すうえで多くの学びを得ています。



私は地元の子どもたちに寄り添える場所づくりを目標としています。
特に、引きこもりの子どもたちにも手を差し伸べ、外に出るきっかけを提供できるような活動に取り組んでいきたいと考えています。



長期入院している子どもたちの心のケアに強い関心を持っています。将来は、病院で心理士として子どもたちを支援していきたいと考えています。
子どもたちへの支援が私の根本にあります。多くの子どもたちが、病気のために未来に希望をもてず、苦しい治療を受けている状況です。そうした子どもたちにとって、私が「生きる理由」の一つになれればと思っています。
「あのお姉さんに会いたい」、「あの人のような仕事をしてみたい」と、将来に対して前向きな気持ちを抱いてもらえることが私の理想です。