

NPO法人 Your School
慶応義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班
2024年の聴き手
大分大学、NPO法人ポケットサポート学生ボランティア 2023年の聴き手
NPO法人 Your School
慶応義塾大学 秋山美紀研究会 チルドレンケアラー班
2024年の聴き手
大分大学、NPO法人ポケットサポート学生ボランティア 2023年の聴き手
Your Schoolについて
明日を見つめる瞳が輝くように
Your Schoolは、入院中の子どもたちへの“学び”を支援する学習支援プロジェクトを行うNPO法人です。入院中・闘病中であっても、子どもたちが学びの場に集えるように、できることから一つずつ積み重ねていきたいと思います。
「Your School」をあらわすキーワード
団体の概要
Q.団体名は?

正式名称:NPO法人 Your School(ユアスクール)です。
発案者は発足メンバーである堀 美憂さん。本来の学校に通うのが難しいとき、自分の本来の学校を遠い存在のように感じてしまうかもしれません。そんなときも子どもたちが自分の居場所を見出せるような場を作っていきたいという想いが、“Your School”に込められています。
Q.設立年は?



2017年に設立し、2018年に法人化しました。
Q.活動地域は?



東京都です。
学生メンバーについて
Q.どんな学生メンバーがいるの?



慶應義塾大学の学生を中心に、子どもたちとのかかわり方・病棟規則について学んだ医療系学部の学生が参加しています。学生メンバーは37名います。(2024年現在)
活動の紹介
主な活動
Q.具体的な活動内容は?



Your Schoolの活動は、団体に所属する学生(以下、学生)を中心に企画・実施しており、現在行われている活動内容は主に以下の3つです。
それぞれの活動分野において、学生が決まった担当について活動しています。新たな企画や改善案などについても学生が主体的に考えてアイデアを出しながら活動しているのが特長です。
1. 病院での活動




新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、実施方法はオンラインです。



毎回、学生1~2名が活動し、学習支援をしたり、雑談、遊びとしておりがみを一緒にしたりしています。
活動後には、学生同士で反省や振り返りを行い、その内容をまとめたレポートを病棟看護師の方に提出しています。場合によっては、病棟の方から活動に関するコメントやフィードバック(活動に参加した子どもの様子や子どもから聞かれた言葉など)をもらうこともあり、PDCAサイクルを意識した活動をしています。



以前は慶應義塾大学病院と駒木野病院にて活動を展開し、子どもたちとの関わり方や病棟規則について学んだ医療系学部の学生が病棟内の学習室やベットサイドに出向き対面での活動を行っていました。
そのときの具体的な活動内容としては、子どもたち一人ひとりが「取り組みたい」と希望するものを中心とし、学校の宿題、家庭科の裁縫や図工の工作のサポートなど、入院していても“学校”を感じられるような活動内容の実現のための工夫をしていました。
子どもたちとのマッチングの方法について
学生メンバーが活動を行える候補日をいくつか挙げ、その候補日の中から、子どもたちが自分の体調やスケジュールに合わせて、参加できる/したい日にちに参加するかたちです。この方法は、“子どもたちの参加はあるが活動している学生はいない”という状況が避けられる、というメリットがあります。
2. 北海道・鹿追高校の生徒との交流活動
実施方法はオンラインで、Oviceというアプリを使用しています。





対象はYour Schoolが主な対象としている「病気療養中の子ども」に限定せず、北海道栄高等学校に在籍する生徒のうち、この交流活動に参加希望の生徒を対象としています。
3.広報活動
Your Schoolに関わる以下の方々を対象に、団体の活動内容などを発信しています。
1)寄付者の皆さまへ
Your Schoolに寄付をしてくださっている方や伴走してくださっている方に、Your Schoolが日頃大切にしていることを伝えています。
2)ご家族の皆さまへ
病児学習支援に心を寄せてくださっている入院中の子どもたちやそのご家族に向けて、Your Schoolの存在や活動、大切にしていることを知っていただいています。
3)学生の皆さまへ
病児学習支援活動に興味を持っている学生に向けて、Your Scholの活動について知っていただいています。
また、これらの広報活動は、Your Schoolの活動の一方的な発信にとどまらず、コミュニケーションの機会としても重要な役割を果たしています。
Your Schoolの一方向の発信だけではなく、寄付者の皆さま、応援してくださっている方々、卒業生などと繋がり、お話の場を通じて双方間のコミュニケーションの機会にすることを意識しています。
現在行っている広報の使用媒体
Instagram / Facebook / YouTube(登録者1490人) / 公式LINE
現在行っている広報の使用媒体
Instagram
Facebook
YouTube(登録者1490人)
公式LINE
対象の子ども・活動場所
Q.どんな子どもたちと、どんな場所で関わっているの?



対面の活動として、東京都内の病院で入院中の小学生・中学生・高校生と、オンラインでも、北海道の高校で高校生と関わっています。
学校の宿題だけでなく、クラスのみんなとできなかった家庭科の裁縫や図工の工作などもサポートしています。
Your School の特色
連携している団体・応援してくれる先生方
様々なバックグラウンドを持った大人に支えられています。
医師や看護師などの病院で働く方や学校の先生に限らず、一般の企業で働いている方もYour Schoolの活動をサポートしてくれています。主に、以下の方々に活動のサポートをしていただいています。
医療スタッフの方との連携を大切にしています。
Your Schoolでは、メンバーの学生たちに子どもたちとの活動の日は、終了後に報告書を書いてもらっていいます。その報告書では、子どもたちの活動中の様子などを記入しています。その報告書は、活動を行っている病院の看護師さんや公認心理士さんなどの医療者に提出していて、共有をしてくださいます。
退院するときに、退院前カンファレンスにてYour Schoolの活動報告書を活用していただいたこともありました。
団体の特徴
「明日を見つめる瞳が輝くように」
活動理念として「明日を見つめる瞳が輝くように」を掲げています。
みなさんにとって学校はどのような場所ですか?
―勉強する場所。遊ぶ場所。友達とおしゃべりする場所。答えは十人十色だと思います。
ただ、1つ共通して言えることは、学校は子どもたちにとって大切な”学び”がたくさんつまった場所であるということではないでしょうか。
いつもの学校に通うことが難しいとき、誰でも集うことができる、”学びの場”を子どもたちと一緒につくりたい。こんな想いを胸に、明日を見つめる瞳が輝くよう、私たちYour Schoolは子どもたちと過ごす”今”をこれからも大切にしていきます。
子どもたちとともに過ごす“今”を、大切に積み重ねています。
Your Shoolの病棟での活動は学習支援としていますが、実際に子どもたちと何をするかは事前に決まっていません。活動の時に子どもたちと話す中で決めていて、もちろん宿題をしたり勉強をしたりすることもありますが、ただ一緒に遊んだりお話をしたりする時もあります。Your Schoolのメンバーが子どもたちと一緒に「今日は何しよう」と考え、子どもたちと一生懸命に向き合ってくれています。
これからについて
対面支援
今後対面支援が実施できるようになった場合には、医療機器や点滴などが子どもに繋がれていることを想定し、安全管理を徹底するための準備を進めたいと考えています。
さらに、オンライン支援よりも対面支援の方が、エンパシーが高くなると考えられるため、子どもに対する過干渉が起こらないように、心理的に適切な距離感についても意識できるようになりたい、との声もあります。
別の視点からは、対面支援では表情や仕草がより顕著に相手に伝わる、という特性があるため、学生自身の言動で子どもやその保護者が不信感や違和感を抱いたりしないように、常に見られているという意識、責任感をより一層持って活動すべき、という意見もあります。
学生メンバーへのインタビュー
Q.Your Schoolに参加したきっかけは?



テレビでYour Schoolが紹介されているのをお母さんが教えてくれました。薬学部に所属していて医療系の勉強しているけど、病院の環境を知らなかったので、Your Schoolの活動を通してそこを知れたら良いなと思い参加しました。



信濃町・日本橋で開かれたイベントに参加した時に、そこに代表のききさんがいて、話したことがきっかけでした。



去年の5月頃の大学の講義で代表のききさんからYour Schoolに関する紹介があり、そこで興味を持ちました。もともと子供が好きだったのもあり、患者さんが何を感じて生活しているか知りたかったので参加することにしました。



副代表を務めているうららさんが出ていたYouTubeを見たことからでした。インスタでもYour Schoolのことを見かけて興味を持ち、参加することにしました。



Your Schoolを知ったきっかけはいつきさんに誘われたことでした。活動を知る中で興味を持ち、参加することにしました。



Your Schoolのことや副島先生や代表の輝々さんから聞いていて、ぜひ参加したい!と以前から思っており、自身の体調や学業面が安定してきたのでYOUR SCHOOLメンバーに混ざりたーい!と思って参加しました。」



大学1年時の講義で代表から紹介を頂き、この団体を知りました。子供と関わることが好きで、患者さんが普段どのような状況でどのような不安を抱えておられるのか肌で感じ、共に考えることができる点に惹かれ、Your Schoolへの参加を決めました。
Q.活動中、どんなことを大切にしていますか?



入院中の子どもたちはいつ具合が悪くなるか分からないので、子どもたちの小さな変化を逃さないことです。子どもたちは少し具合が悪くても無理をしてしまうこともあり、オンラインでの活動だとその子どもたちの変化に気付くのは対面での活動より難しいです。



現在は鹿追高校に通う高校生とのオンラインでの活動を中心に行っているのですが、その活動では画面オフで話すことが多くて、相手の声のトーンや話し方でその子の気持ちやテンションを読み取るように注力しています。



オンラインでの活動の時に気をつけていることは、些細な変化に気付くことです。子どもたちに普段とは違う様子があれば、直接子どもたちにその理由を聞くのではなく。会話をしていく中で確認するようにしています。



まず、子ども達に自分のことを知ってもらうことが大切だと考えています。子どもたちもよく知らない人に自分のことを話したくないと思うので、先に自分から自分のことを伝えることで子どもたちからも話してくれるようになったと感じています。
Q.活動を続けるモチベーションは?



入院中の子どもたちが楽しく生活できるようにと思い活動している中で、退院の時に子どもたちが言ってくれる「ありがとう」はモチベーションに繋がっています。



普段は鹿追の活動で高校生と関わっているのですが、そこで何か教えるよりも高校生との関わりの中で得るものや学ばせてもらうことがたくさんあってそこがモチベーションに繋がっています。



自分の学習塾でのバイトの経験からから未来のある子どもたちと関わるのが好きだと感じ、Your Schoolの活動を通してそのような子どもたちと関われることがモチベーションとなっています。



大学にいる間にいろいろなバックグラウンドある人と関わりたいと思い参加しました。Your Schoolの活動を通して色々な人とコミュニケーションが取れるので、自分にとっても良い経験になると感じています。



Your Schoolでの活動を通して、入院している子どもたちの力や心の拠り所になりたいと思っています。自身が中学生の時に1ヶ月入院した時に、自分だけ時間が止まってしまったような気がした経験があり、同じようなことを感じる子どもたちがいなくなって欲しいという思いで活動に取り組んでいます。



学生の時に何かしたいという思いで活動を始めたのですが、Your Schoolとして自分ができることを頑張りたいと思っています。また、現在行っている活動は先輩に教えてもらったり先輩から引き継いだもので、それを続けていきたいです。



今まで子どもと関わる機会が少なかったため、実習やボランティアでの子どもたちとの交流が新鮮で楽しいところです。



子どもからプライベートな部分の話ができたとき、嬉しく思いました。



子どもとの距離感に迷っていましたが、(子どもの方から自己開示があり、心を開いてくれたのだと)安心しました。



“入院中、活動のおかげで楽しく過ごせた”という言葉が嬉しかったです。



“◯◯さんと話したくて活動に参加したよ”という言葉をもらい、モチベーションがあがりました。
子どもからのポジティブな発言や言動、段々と心を開くような態度の変容が見られることが活動のモチベーションにつながっています。継続的に関わることで子どもからボジティブなフィードバックを受けられることは、学生が活動を続けるうえで大きな意味をもっています。
また、Your Schoolの学生同士でLINEを使って活動報告や意見交換をしたり、年に2回程度対面で同様の活動や雑談の機会を設けたりしています。これは、学生の士気を高めたり、仲間がいるという安心感を与えたりする役割があります。そして、活動のリマインド的役割や新たな気づきを得られるという、子どもに還元される意義もあります。
Q.成長したと感じることは?



入院中の子どもたちと接する時、病気を抱えているという点で過度に気を遣うことが少なりました。
活動初期は、好きなことを聴くとそれが出来なくなった辛さを思い出させてしまうかもしれないなどと気にするあまり、子どもたちと上手く話すことが出来ませんでした。ですが、Your Schoolメンバーと意見交換したりアドバイスをもらったりしていく中で、子どもの持つテリトリーに入りすぎてしまうことを防ぐのに、自分が好きなこと等を尋ねない方法だけで無く、言いたくなかったら「秘密~」と言って良い事を子どもたちに伝える方法もある事を知りました。



子どもたちとはオンラインでの交流だったので、直接会うよりも、画面越しで顔を見るのは、相手の子の雰囲気がわかりづらかったり、画面に顔を映さない子もいたりして、何を考えているのか、どういうリアクションなのかということを画面から見える範囲や、聞こえてくる声で汲み取ることを心がけるようになりました。
そのため、声のトーンの違いや、ちょっとした表情の違い、目線の動かし方などから、相手の子の考えていることを読み取ることは以前よりも少しできるようになりました。
活動をオンラインで実施しているからこその難しさ、病気の子どもの支援というややセンシティブな活動ならではの難しさから、困ることもあります。



話すのが苦手な子どもとオンラインで打ち解けるのは難しいです。



表情や仕草が読み取れないのでコミュニケーションが取りづらいです。」・学生C「高校生の悩みに対して何と返すべきか悩みます。



入院中の子どもと関わるが、痛みはとってあげられないというもどかしさがあります。



複数同時に子どもと関わる場合にはタイムキーピングが難しいです。
その他、以下のような意見を寄せる学生もいます。



病棟スタッフとのより密な連携とOBOGとの関わりがもっとあればいいなと感じています。
参加希望の子どもの情報がほとんどわからない時もあるので、いつから入院しているかなどがわかればその子との関わり方もまた変わってくるのではないかと思います。
OBOGとの関わりは現状ほぼないので、当時大切にしていたこと、困ったときの対策などを伝授いただける機会が欲しいです。今までのYour Schoolの軌跡を知ることで、それを踏まえたアップグレードが可能になったり、困ったときの道しるべになったりすると思っています。



医療系の学生だとしても、普段から入院している方と関わる機会というのはなかなか無く、活動を始めた最初は、”どこまで相手の子に踏み込んでいいのか”ということが分からなかったり、そもそも入院している方の生活について分からなかったりすることが多く、どのような環境にいるのかが分からない相手と交流することに不安を感じることがありました。
活動して行くうちに、少しずつ入院中の生活について知れたような感じもしますが、病院の中で生活している方のことについて、もっと知ることで、関わり方ももう少し工夫できるのではないかと思うので、入院経験のある方、入院している方のお話を聞けるような機会があったら良いなと思います。
Q.今後取り組んでいきたいことは?



子どもたちとは「子どもたちの全ては分からない」という前提で接することが多いです。毎日会ってる友達のことでも分からない時はあるし、自分自身のことでも分からない時もあります。その中で、子どもたちとの関わりの中での自分の立ち位置を意識していて、自分に間違いがあればそれを認めてきちんと謝るようにしています。



復学も手助け出来るのではと感じているので、退院後支援も行っていきたいです。



鹿追高校での活動をより大きくして、たくさんの高校生が参加してしてくれるようにしていきたいです。



現在カナダの大学に通っているので、そこでの経験をYour Schoolでの活動に取り入れたいです。



Your Schoolでのイベントの企画をやっていきたいです。
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