2025年10月4日(土)~10月5日(日)慶應義塾⼤学 ⽇吉キャンパスで開催した「第3回 病気療養中の子どもたちと学生がつくる、”学びの場”について考えるフォーラム」のフォトレポート – Day2 – です。
– フォーラムの概要 –
フォーラムの概要について
「全国どこの病院に入院しても、いつでも、だれでも“学びの場”に集える社会の実現に向けて」という想いのもと、2023年4月からNPO法人 Your School、慶應義塾大学 秋山美紀研究会、埼玉医科大学 総合医療センター 緩和医療科の共同プロジェクトとしてはじまった「病気療養中の子どもたちと学生がつくる、”学びの場”について考えるフォーラム」。
元々はコロナ禍に、Your School主催で毎月1回、オンラインで開催されていた交流会から生まれたという学生同士のつながり。会を重ねるうちに「子どもたちのより良い”学びの場づくり”のために、もっと横のつながりを深め、お互いに協力していきたい」という声が生まれ、この共同プロジェクトに発展しています。
2023年の第1回、2024年の第2回は慶應義塾⼤学 三田キャンパスで、クローズドなワークショップ – Day1 -と、ゲストや来場者も招いたオープンなフォーラム -Day2 -から成る2日間のプログラムとして開催してきました。
これまで参加した学生メンバーの「フォーラムがもっとこういう場になったらいいな」「こういう時間をwacca! メンバーと過ごせたらいいな」が実現できるかたちを考え、第3回となる今年は慶應義塾⼤学 日吉キャンパスに場所を移し、プログラムも大きく変えて、2日間ともメンバーのみのクローズドなプログラムの中心の開催となりました。
第3回フォーラム開催にあたって
今年のフォーラムの参加者向けの「しおり」には、「第3回フォーラム開催にあたり」という題で、こんなメッセージが綴られていました。
wacca! フォーラムは今年で3回⽬の開催を迎えます。wacca!(わっか)という名前もつきました。は、病気療養中の⼦どもたちと関わる学⽣がつながり、広げる”学びのわ”のことで、第1回・第2回のフォーラム参加者のみなさんが名付けてくれました。
第3回のフォーラムには、全国から約30名のwacca! メンバーが参加する予定です。「そもそも、⼦どもたちにとって学びや遊びってなんだろう?」「⾃分はどんなことを⼤切にしたいのかな?」「⼦どもたちにとって、どういう存在でありたいのかな?」など、wacca!の仲間たちと⼀緒にじっくり考える2⽇間にできたら嬉しいです。
地域や枠を超えて交流を深めながら、お互いの活動を紹介したり悩みを共有したりする中で、たくさん”いいとこ取り”をして、ぜひみなさんの「引き出し」がいっぱいになった状態で最終⽇を迎えてください。
10⽉にみなさんと対⾯でお会いできることを⼼から楽しみにしています。
フォーラムのプログラムについて
※内容は毎年少しずつ異なります。
Day1
- ランチタイム
- みんなで「ゆるスポ・棒サッカー」⁉
- はじめに
- 先輩ラジオ
- 「〇〇だといいな」ワーク
- Day1の振り返り
Day2
- 鈴パパママのお話
- 「〇〇だといいな」ワーク
- キタキツネさんラジオ
- Day2の振り返り
「全国どこの病院に入院しても、いつでも、だれでも“学びの場”に集える社会の実現に向けて」
という根底に流れる想いは第1回から変わりませんが、今年はもう一歩踏み込んで、集まった一人ひとりの想いや大切にしていることを分かち合うことや「それを実現していくために具体的にどうしたらよいか」それぞれの一歩を踏み出すためにともに考える2日間にしようというメンバーの想いがつまったプログラムだったように思います。
このフォトポートでは、フォーラムの2日間に流れていた空気を読み手のみなさんにも感じていただるように、第1回・第2回に続き「撮影係」を担当した“みっちゃん”の視点からみえた参加者のみなさんの様子を写真と文章でお届けします。
Day2 の様子
鈴パパママのお話






Day1から一夜明けたDay2は「鈴パパママのお話」からはじまりました。
「病弱高校生の教育保障」というテーマで、中学2年生で小児がんを発症し、高校2年生で再発・高校3年生で再再発を経験し、治療を続けながらも学ぶことを諦めずに教育保障への願いを伝え続けた久保田鈴之介くんと、一男さん【鈴パパ】、鈴美さん【鈴ママ】の3人の「願い」を、wacca!の学生メンバーにも手渡してくださいました。
その願いの一つひとつは、直接お話を聴いたみなさんに託しますが、鈴之介くんからのメッセージも含めて、鈴之介くん、鈴パパ、鈴ママ、3人それぞれの想いを受けとった時間でした。
鈴之介くんの体験や想いをきくことで、自分たちが今大切にしている「病気療養中の子どもたちの”学び”」をとりまくの当時の社会の状況や、そこから学びの機会を保障するためにさまざまな人が社会に働きかけ続け、全国各地に少しずつ教育保障の芽が育まれていった過程を一緒に辿ることができました。
鈴パパがシェアしてくださった「長期入院高校生の教育環境地図」では、2016年から2025年現在までの10年間で、日本国内の各都道府県でどのように教育環境が育まれていったのかという過程を一緒に辿りました。
院内学級がある
講師派遣制度と遠隔授業制度がある
講師派遣制度がある
インターネット遠隔授業制度がある
特別支援学校が原籍校とつなぐ
特別支援学校単位で近隣病院と連携
それぞれが色分けされていて、実現した都道府県から色がついてゆきます。
wacca!のメンバーが関わっている子どもたちの年齢は団体によりさまざまですが、子どもたちの学びの機会をまもり育む「色」のひとつであることに変わりはないと思います。
そして、wacca!のメンバーは医療や教育の専門職として、もしくは他の領域の専門職や一人の市民として、子どもたちと関わっていく一人でもあります。
この時間で感じたこと、考えたことはそれぞれだと思いますが、わたしも含めてこの時間で心に浮かんだ想いが、この日本地図の彩りを守り、より豊かにする一助になることを願っています。












「〇〇だといいな」ワーク
– “わたしたち”の願いの一歩を考える –






「鈴パパママのお話」のプログラムを終えて、Day1の「〇〇だといいな」ワークのつづきに戻ります。
1日目に一人ひとりがみつめていた「わたしの願い」に、鈴之介くん・鈴パパ・鈴ママから受けとった願いが重なり、子どもたちの学びの保障の歴史という縦軸と、地域ごとの歩みや現状という横軸も広がり、より立体的になった「願い」。その願いをどうしたら実現していけるのか。という一歩踏み込んだ話し合いに入りました。
1日目のレポートにも綴った通り、一つひとつの願いの奥には、一人ひとりの不安や悩みや葛藤、儘ならない現状があります。一人で急に全部を変えることは難しくても、一歩につながる鍵はないか。テーブルに広がった願いをみつめながら、書き足しながら、各チームごと語り合う様子が印象的でした。






「キタキツネさんラジオ」
– 大人たちと一緒に考える –






午前中のワークの終わり頃、各チームに「質問シート」が配られました。
ワークを行う中で生まれ、自分一人でも学生メンバーだけでも答えが見つからない「問い」について、このフォーラムを支えてくださっている大人たち「キタキツネ」チームのメンバーに質問を渡してみようという企画。
質問シートには、こんなメッセージが綴られていました。
~質問シート~
ランチタイムのラジオコーナーで、キタキツネさんたちがみなさんの質問にお答えします。ただ、キツネさんたちの回答が、必ずしも“正解”とは限りません。むしろ、「解のない問い」を投げかけてみた方が、おもしろいかもしれません…
どなたへの質問ですか?
聞いてみたいことはなんですか?
どうして、この問いを投げかけようと思いましたか?
wacca!はこのフォーラムを見守る大人のメンバーも、全国各地でさまざまな領域で活躍する専門職のみなさんが集まっています。
質問シートの「どなたへの質問ですか?」の欄に「全員!」と書いているものもたくさんあり、いろんな視点から一つの問いをみつめてゆける見守りがあるというのも、wacca!の魅力の一つだなと実感しました。
質問シートを書き終えると、ラジオの会場へ。
登壇者は朝一番にもお話をしてくださった鈴パパと鈴ママ、そして子どもたちの学びに関わる専門職でもある、昭和医科大学 保健医療学部、昭和医科大学病院さいかち学級担当の副島賢和さん、名古屋大学医学部附属病院 チャイルド・ライフ・スペシャリストの佐々木美和さん、旭川市立大学短期大学部の佐藤貴虎さんの5名。
そこに1日目の「先輩ラジオ」に引き続き、儀賀理暁さんが聴き手として加わり、wacca!学生メンバーからの「問い」を登壇者のみなさんに手渡してゆきます。
質問や答えの詳細は参加してくださったみなさんの心の中に留めますが、このラジオの時間に交わされたことばの欠片を、この時間を感じるための手がかりとして、レポートを読んでくださったみなさんにも共有します。
初めて会う時に大切にしていることは?
相手との距離感をみつけにいく
触れないと、境界がわからない
ことばで表現することができない子との距離感のとり方は?
家族全体もみてくれるとありがたい
病名がつかない困りごと
どんな後悔があったのか
あの時のわたしの精一杯だったという気持ち
その時その時、一生懸命その子のそばにいる
「その子」の今はどうなのか、「その子」を主語にして考える
相互作用のなかでみつかってくる
子どものなかにどんなものさしがあるのか
子どもがしたいこと、しなければならないこと
「その子のため」って何ですか?
その気持ちを変えなくてもいい
したいこと、やりたいことをみつけてもらうには、どう関わればよいか?
先生の生き方が教科書
わたしたちの活動を知ってもらうために、どんなことができるのか?
葛藤とどのように折り合いをつけたらいい?
「助けて」と言いやすいか
ことばの欠片だけでも感じることがたくさんあるかと思いますが、ことば以外の部分…登壇者のみなさんがお話されている時のまなざしや声のトーン、間、そしてほかの誰かのお話をきく姿勢からも、子どもたちに限らず誰かと関わる時のヒントがたくさんありました。
写真にもそのヒントが宿っているような気がして、少し多めにお写真も残しておきます。















「〇〇だといいな」ワーク
– “わたしたち”の願いの一歩を考える –












「キツネさんラジオ」が終わると、いよいよ2日間のワークもフォーラムも終盤へ。
ラジオで受けとったことばもそれぞれの心のなかに置きながら、各チームごとにこの2日間でみつけた「〇〇だといいな」という願いと、それを実現するために”わたし”に何ができるのか、”わたしたち”は何をしていきたいかを考えていきます。






まとめた内容は、2日間の学びとして、各チームが発表し、参加者全員で共有しました。
そのチームならではの視点や発想にはっとさせられたり、違うチームでも重なる想いがあったり。各プログラムで願いの種を手渡した大人のみなさんが、一人ひとりの声に耳を傾けていたそのまなざしも記憶に残っています。
発表の内容については参加者のみなさんのものとしてレポートには記しませんが、ぜひ参加者のみなさん一人ひとりが、それぞれの地域の活動の場で発信したり実践したりする中で、伝え、広めていただけたらうれしいなと思います。






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全体共有のあとは、Day2、そして2日間全体を通しての振り返りの時間。
初参加だったメンバーもいれば2回目・3回目だったメンバーもいて、来年も参加できるメンバーもいれば、卒業などの節目で学生としては最後の参加になるメンバーもいて、企画や運営のメンバーとしてフォーラムを支えてくれたメンバーもいて、感じたことはそれぞれだと思います。
その気持ちを持ち帰って、それぞれの日々・人生を歩む力や支えにしてもらえたらなと願っています。


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おわりに



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フォーラムの結びとして、この2日間をともに過ごした大人メンバーの「キタキツネ」チームを代表して、鈴パパと鈴ママからメッセージをいただきました。
学生のみなさんがこうして子どもたちの学びを大切に想ってくれていること。病気療養中の子どもたちを想って活動する“仲間”がまだまだ少ない中で、「全国の病気療養中の⼦どもたちが、いつでも、どこでも”学びの場”に集える社会の実現に向けて」という想いをもって集い、真剣に取り組むwacca!の学生メンバーは、大人たちにとっても心強い、大切な仲間でもあるのだろうなと。この2日間を見守り、参加者のみなさんの声をききながら感じました。
過去のフォーラムの参加者にも、卒業して全国各地の現場で専門職として働く仲間や、今回の「先輩ラジオ」の企画のように先輩として学生メンバーと一緒に時間を過ごしてくれる仲間、フォーラムの準備や当日の進行を支えてくれる仲間も増えています。
在学中も卒業後も、wacca!という“学びのわ”でつながり、支えあえる場であれたらいいなと、そんな願いを第3回フォーラムの結びとさせていただきます。
最後になりましたが、第3回フォーラムに参加してくださった学生メンバーのみなさん。そして「先輩ラジオ」に参加してくださった先輩のみなさん、2日目にお話をしてくださった久保田一男さん【鈴パパ】、鈴美さん【鈴ママ】鈴之介くん。「キツネさんラジオ」にご登壇くださった副島賢和さん、佐々木美和さん、佐藤貴虎さん、儀賀理暁さん。
参加学生団体の大学の先生としてかけつけてくださった、秋田大学の藤井慶博さん、大阪教育大学の五島脩さん、静岡大学の石川慶和さん。
また、昨年に引き続きフォーラムの2日間を記録してくださった長山雅之さんをはじめ撮影チームのみなさん。第1回のフォーラムから学生たちの取り組みに関心を寄せ、取材し、学生たちの想いや取り組みを社会に伝えてくださっている朝日新聞社の上野創さん。
そして、第1回フォーラムから共催としてサポートしてくださっている慶應義塾大学 秋山美紀研究会の秋山美紀さんをはじめ、フォーラムの準備や運営を支えてくださったみなさん。当日お越しくださりいろんなかちで参加やサポートをしてくださったみなさん。本当にありがとうございました。
フォーラムは学生主体で企画・運営していますが、このレポートにつまったフォーラムの記録写真からも伝わる通り、学生のみなさんの「やってみたい」「学びたい」という気持ちや活動を見守り、支え、ともに学びあう大人のみなさんの存在も、wacca!の学生メンバーにとって大きな力になっていると感じています。
学生たちを応援する大人の一人として、感謝の気持ちをこめて、見守ってくださったみなさんのまなざしをおさめた写真をたちをそえて、今年のフォーラムのフォトレポートとさせていただきます。本当にありがとうございました。





















Day1~Day2のお写真はここまでです。
フォトレポートは撮影者から見えた記憶・記録にすぎませんが、みなさんの視点から見えたこの2日間の景色は、どんなものだったでしょうか?
写真におさめられた「その時」どんなことを感じていましたか?
それぞれの場所に戻った今、どんなことを考えていますか?
そんなことを、またきかせていただけたらうれしいです。
この2日間ともに過ごしてくださり、また、レポートを読んでくださりありがとうございました。
Editor’s note
第3回目を終えた「病気療養中の子どもたちと学生がつくる、”学びの場”について考えるフォーラム」。
過去2回のフォーラムに参加した学生メンバーのみなさんが相談しながら考えた wacca!(わっか)という名前がついて、よりいっそう参加者一人ひとりの想いや願いがつながり ”学びのわ” としてひろがりはじめた気がしています。
フォーラムレポートの結びにも綴りましたが、過去のフォーラムの参加者にも、卒業して全国各地の現場で専門職として働く仲間や、今回の「先輩ラジオ」の企画のように先輩として学生メンバーと一緒に時間を過ごしてくれる仲間、フォーラムの準備や当日の進行を支えてくれる仲間が増えています。
撮影係のわたしは、学生さんたち一人ひとりとお話する機会はそこまでないのですが、学生さんとして出会い・撮影させていただいたみなさんが、先輩として学生の参加者のみなさんと関わっている景色に出会うと、何だかとっても嬉しい気持ちになります。
そんなみなさんの存在にも支えられながら、学生のみなさんがこれからも安心して集い、悩みや想いを相談したり、学びあいながらつながり、ひろげていくwacca!がこれからもつづくように、わたしができることをもこつこつ重ねていきたいと思います。
またお会いできることをたのしみにしています。
2025年10月 michi-siruve 藤田理代(撮影係)
